センターの特長
MRIの機能を最大限に活用し
正確な診断・適切な治療を
こうした医療機器は高度に精密化・複雑化しており、その機能を最大限に引き出すためには「医学と理工学の知識を併せ持つ専門チーム」の存在が欠かせないと、札幌柏葉会病院には先端医療研究センターが設置され、最先端の臨床MRI装置、新しい画像技術、人工知能などの迅速な導入を進めています。
当センターの松澤等センター長は、日本脳神経外科学会の専門医資格に加え、情報処理技術者資格、Japan Deep Learning Association(JDLA)のG資格等を持ち、かつて、日本で最初の臨床用3テスラMR装置の臨床応用、日本で最初の7テスラMRI装置の開発応用チームのメンバーとして経験を重ねてきました。
現在は当センターで臨床医や診療放射線技師、リハビリテーションスタッフらとチームを組んで、疾患の診断と治療から回復リハビリテーションまでを最先端のものにする取り組みを行っています。具体的には、新しいMRI撮像技術や画像構築技術を導入して、脳の機能局在や神経路の可視化をおこない、あるいは人工知能、深層学習技術を導入して患者さんの定量的動作解析を行い、その情報を臨床の現場に提供します。
導入の最新装置
MAGNETOM Cima.X
(マグネトム シーマエックス)3テスラMRI装置 Cima.X
シーメンスが研究用として開発していた3テスラのフラッグシップ機で、日本では3台目の導入になります。一台目は愛知県の岡崎にある大学共同利用機関法人 自然科学研究機構 生理学研究所、2台目は東京科学大学(旧東京医科歯科大学)ですので、民間の臨床病院としては今回初めての導入となります。
Cima.Xの特徴は幾つもありますがあえて、ハードウェア関係とソフトウェア関係に分けて二点ずつ挙げると
ハードウェアについて
- グラディエントコイルの最大傾斜磁場強度が200mT/mと強力であること。
- このコイルの冷却のために新しくHydroCoreシステムを導入して高い冷却効率を実現していること。
ソフトウェアについて
- 深層学習AI を用いたDeepresolveの導入によって高速撮像と高分解能画像を低ノイズレベルで両立、実現していること。
- Software I/O規格であるISMRMRD formatに準拠していれば、container単位での画像再構成関連プロセスについて、ユーザーによるある程度の改変を安全に提供する手段を導入していること。
が挙げられます。
国立の研究機関や大学病院とはまた違った、民間の脳神経外科の急性期病院ならではのニーズの元に、Cima.Xの機能を最大限活用してゆきます。
診療チームとの二人三脚で
手術の精度と安全性を高めます
執刀医グループは多様な画像情報を基に詳細な手術計画を立て、病変部に対しどうアプローチ、どう処理するのが最適かということをシミュレーションします。手術中にはその神経画像とナビゲーションシステムや神経内視鏡、手術顕微鏡などを連動させ、難しい手術を正確に安全にアシストします。
脳腫瘍では病変部と正常部を可及的に正確に可視化し、腫瘍周辺の脳の機能を温存しできるだけ後遺症を残さない手術を計画することも可能になってきています。脳血管障害では開頭手術に加え血管内手術も取り入れていて、高精度の三次元画像情報によって様々なリスクを回避する方法を血管内手術前に検討できます。
人工知能技術が
機能回復訓練をサポート
リハビリテーションは、これまで理学療法士や作業療法士、言語聴覚士が患者さんの姿勢や動作などの肉眼手観察結果を手がかりに、個別の知識と経験を元に評価、支援を行っていましたが、当センターは人工知能技術を使って患者さんの動作解析や定量的評価を行い、微妙な変化や経過を数値で捉え、個別性の高い適切なリハビリテーションを実現できるような開発研究を続けています。
高齢社会での医療の役割は、病気の治療だけでなく、認知機能や運動機能の維持、手術後の早期回復や日常生活への復帰までの医療を途切れることなく提供することです。当院は、医療技術の進歩をいち早く取り入れて臨床に生かす体制を構築し、世界水準の医療を地域社会に提供できる脳神経領域の専門医療拠点を目指し進みます。